なんにせよ、インディペンデントで活動を行うということはとても勇気があることだ。私は「インディ・ロック」という言葉を気に入っている。ポジティヴィティを放っている言葉だ。その言葉の響きに詰まっているものは、探究心、好奇心、喜び、逡巡と陰り、音楽に対する真摯さ(あるいはその逆)、ユーモア、そして「とても良い予感」だと思っている。
昆虫キッズはそんなインディ・ロックの急先鋒である。彼らの音楽は常にオルタナティブへと突き進んでいるし、ヴォーカリスト高橋翔は自らの言葉を研ぎ澄ませることをやめない。新曲が届けられるたびにワクワクする。ライブに足を運べば、トリックスターのような飄々とした立ち居振る舞いとは裏腹に、その熱量に圧倒される。一見ドリーミーでかわいらしい夢を、時にはちょっとした悪夢へと反転する夢を突きつけるのが昆虫キッズだ。
彼らの新しい両A面シングル『ASTRA / クレイマー、クレイマー』も本当に素晴らしい。
特に「ASTRA」。この曲は、ライブ・ヴァージョンが「暑中見舞いver.」として2011年の夏に無料で配信されていた。そのヴァージョンと演奏の骨格はほとんど変わっていないが、シングルに録音されたヴァージョンはこちらを不安にさせるほど恐ろしい音になっている。まるでスティーヴ・アルビニが録音したかのような破滅的で攻撃的なドラムスの音、気味の悪い音のギターとユニゾンするMC.sirafuのスティールパン、演奏を突如切り裂くトランペット、そして意味のくびきに引っかかり続ける言葉が入り乱れている。
昆虫キッズ/ASTRA
「それからのことなんか思い出せないよ」「あれからのことなんか話したくないよ」と、奇妙な譜割りで歌う高橋翔は詩人だ(そして彼が作ったこの「ASTRA」の、悪夢のようなPVをご覧いただければ分かる通り、変態性を備えた天才だ。ブラッドフォード・コックスの昨年のアルバム・ジャケットのようなコスプレまでしている)。これらのフレーズには、否が応でも「あの日」以降の影が忍び込んでいる。
この音を聴くと、劣悪な音で封じ込められた2009年の1stアルバム『My Final Fantasy』(大好きなアルバムだ)から、彼らはレコーディング・バンドとしても着実に成熟し始めていると感じる。
0 件のコメント:
コメントを投稿